はじめに
衛星コンステレーションに光衛星通信を利用する目的が気になったので、地球-低軌道衛星(2000km以内)のリンクバジェットも加えて調査する。
衛星コンステーレーションの概要
光通信等の衛星コンステレーションとは、衛星間や地上-衛星間を光やRF等で繋ぎ、地上で形成される大規模ネットワークを形成する事を指す。またRFは数十GHz帯しか取れないが、光を使うことでTHz帯域を確保する事ができる。
衛星間、また地上-衛星を繋ぐ目的は下記が考えられる。
・衛星基地局協調MIMOによるリンクバジェットの拡大
・衛星中継による通信距離の拡大
・RF空間仮想化によるミリ波に囚われないソフトウェア無線ネットワーク基盤整備
https://www.nedo.go.jp/content/100958639.pdf
地上-衛星間のリンクバジェットの計算
Quick analysis: Starlink link budget and potential EMF impacts の環境条件、並びにhttps://www.soumu.go.jp/main_content/000691584.pd
の地球局の条件を拝借する。
FSPL 185.12dB@37.5GHz,
Prx = 66.89 dBW - 185.12 dB - 20dB(※1) +34.6dBi(※2)
= -74dBm/480MHz = -110dBm/120kHz(※3)
※1 20dBは大気層損、電離層損、偏波損…etcのロスの最大予想値 20dB
※2 宇宙局のアンテナ利得の記載が無いので暫定。
※3 サブキャリア帯域120kHzの想定。受信感度は凡そ-120dBm.
-110dBm/120kHzのためSINR10dB程度で通信できる。
地球局の条件:
・(地球局、サービスリンク) 38.2dBW, 34.6dBi, 60MHz, 14-14.5GHz
・(地球局、フィーダリンク) 66.5dBW, 49.5dBi, 480MHz, 27.5-29.1/29.5-30GHz
参考
内閣府,「光通信等の衛星コンステレーション基盤技術の開発・実証」
に関する研究開発構想(プロジェクト型),https://www8.cao.go.jp/cstp/anzen_anshin/20221021_meti_1.pdf
NICT, 欧州における光通信を⽤いた衛星コンステレーション計画の動向調査報告書
https://www.nict.go.jp/global/lde9n2000000bmum-att/re2020.03.pdf
経済産業省, 令和 3 年度重要技術管理体制強化事業(宇宙分野における重要技術の実態調査及び情報収集)調査報告書
https://www.meti.go.jp/meti_lib/report/2021FY/000043.pdf